良性発作性頭位めまい症
1週間ほど前に転倒し、頭をぶつけてからめまいが止まらないという。
病院でMRI検査をしたが脳に異常なし。
メニエール病と診断され点滴を続けているが、めまいが治まらずベッドから起き上がるとめまいと吐き気を催す。
症状は回転性のぐらぐらとしためまいで体位を変えたら起こるが安静にして少し経つと治まる。
難聴や耳鳴りはない。
とのことでした。
この問診内容からメニエールなどではなく真っ先に『良性発作性頭位めまい症』を疑いました。
良性発作性頭位めまい症(BPPV)とは内耳の平衡感覚を司る耳石が加齢や頭部外傷などによって剥がれ落ち、三半規管(多くは後半規管)に入り込み、それが頭位の変換によって後半規管の中にある液体を通常よりも大きく動かしその結果、後半規管の中にある神経受容体(有毛細胞)が過剰に刺激されることによって脳は、頭が実際よりはるかに速く動いているように認識します。この情報は眼の視覚情報や関節の位置情報と矛盾し、そのために短時間の回転性めまいを発生させます。
なので理屈的には剥がれた耳石をもとの場所に戻せば症状は治まります。
この患者さんも転倒した際の衝撃で耳石が剥がれたのでしょう。
検査をするとやはり体位の変化によって眼振と激しいめまいが起こりますが数十秒で止まります。
そこで、治療法としてはカイロプラクティック手技ではなく、エプリー法(ある規則に従って頭を動かし耳石を元の位置に戻す方法)で施術を行いました。
すると、即座に症状消失。
これには患者さんもキョトンとして
「もう治療終わり?この1週間苦しんだのは何だったの?」
と驚かれていました。
本来は脳神経外科まで行って検査していたんですから、そこで治療してもらうべきなんですがね〜。
そんなに難しい治療法ではないんですから・・・。
MRIまで撮って1週間も入院して治らずじゃ医療費の無駄遣いと言われても仕方ないですね。